Honey

花粉を媒介してくれるミツバチがいなくなると作物も育たなくなる!?ミツバチ減少の理由を解説

はちみつとは

はちみつミツバチが植物の花蜜を集めたものです。ミツバチは花蜜を体内の蜜袋と言われる胃で分解してはちみつにします。

ミツバチのはたらき

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ミツバチは、花蜜を体内の蜜袋と呼ばれる胃に入れて巣まで持ち帰ります。

他のミツバチと蜜袋内の花蜜を口移ししていき、蜜袋の中で花蜜はだんだんとグルコースフルクトースに分解されます。それを巣の中に吐き出して羽で乾燥させたものがはちみつになります。

ハチにとって花は食料源です。ミツバチが冬を越し生活する一方で、花は季節が巡ると枯れていきます。食料源である花がない間ミツバチはどのように生きているのでしょうか。

この問いは、ミツバチの能力を知れば解決します。ミツバチは花蜜を蜂蜜に変化させ貯蔵させる能力によって、食料源がない季節も生き延びて進化し続けてきたのです。

マメ知識

ミツバチの足に黄色の玉がついているのを見たことはありませんか?

それは花粉団子と言います。花蜜を吸っている間に体にある無数の毛に花粉が付着した花粉を左右の脚を使って花粉袋に運びます。花粉団子は巣の中で蓄えられ、ミツバチの食料となります。

この花粉を集める行動が花にとっては受粉を助ける役割となっており、ミツバチの放花活動は植物の繁殖に欠かせない要素となっています。

はちみつの成分

はちみつには200以上の成分が含まれており、主成分は炭水化物で特に糖質は全体の90~95%を占めています。

糖質は、ほとんどがグルコースとフルクトースの単糖類で占められています。その他二糖類、三糖類、難消化性のオリゴ糖も含まれています。

糖質以外では、水、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、酢酸、クエン酸などで構成されています。

これら成分に関してはこちらの記事をお読みください。

はちみつの歴史

はちみつの歴史は古く、8000年以上前から使用されていました。古代エジプトアッシリア中国ギリシャローマ帝国でも傷や腸の病気に使用されていました。

日本で養蜂が本格的に始まったのは、江戸時代だと言われています。そしておよそ150年前の明治時代、養蜂に適したセイヨウミツバチが輸入されたことで、はちみつは庶民の間にも一気に普及していきました。

ミツバチの家畜化

生物学的なミツバチの分類

ミツバチは人と深く関わりのある昆虫です。はちみつを作る蜂はミツバチと呼ばれ、生物学的には全9種類に分類できます。その中の8種類が東南アジア原産であることから、ミツバチは東南アジアで進化していったと考えられています。

古くヨーロッパでは、作物の花粉媒介やはちみつの収穫を目的として、セイヨウミツバチを家畜化しました。ヨーロッパの人々は、世界中に植民地を広げていく中で、ミツバチも持ち込み飼育したため、セイヨウミツバチは南極大陸以外の全大陸に分布しています。

家畜化されたミツバチ

9種類のミツバチの中で家畜化されているのは、セイヨウミツバチとトウヨウミツバチの2種類だけです。人間はセイヨウミツバチとトウヨウミツバチに備わっていた蜂蜜を作る能力と花粉媒介する能力を利用し飼育し、商業利用してきました。野生のミツバチの生態に人間が介入したことで2種類のミツバチは個体数を増やし、生息域を広げることができました。

セイヨウミツバチもトウヨウミツバチも進化の過程で多くの亜種を残してきました。亜種それぞれの異なる性質を掛け合わし、品種改良を繰り返すことで生産力の高いミツバチを作ってきました。

ミツバチの飼育(古代)

初期の養蜂は、世界各地で始まりました。トウヨウミツバチは古代エジプトで4500年前から人々と共に生きてきました。このことは、古代エジプトの象形文字の中にハチを催した絵画が発見されたことから知ることができました。セイヨウミツバチは中世に入り飼育が軌道に乗り始めました。

中世では養蜂は敬謙な仕事として修道院で行われていました。現在使用されている養蜂道具の多くがこの頃に発明されました。

古代エジプトの王の墓に置かれた蜂蜜が約3000年の時を経て掘り起こされた時にもまだ食べることができたという話もあります。これは、はちみつは殺菌作用が高く含有している糖分が高いために菌が繁殖しからにくいです。

市販されているはちみつは、流通しやすいように加熱処理されていたり水あめ等が含まれている商品もあるため、だんだんと品質が落ちたり、傷んでおいしく食べれなくなったりします。

ミツバチの飼育(中世~近代)

現代の巣箱の発明

19世紀半ば、アメリカの聖職者であるラングストロスによって考案された巣板のついた巣箱によって養蜂は大きく発展しました。

この巣箱は養蜂作業の無駄を省き、蜂の幼虫とはちみつを分けることができたため、はちみつを素早く清潔に採取できるようになっただけでなく、ハチにも優しい仕組みになっていした。

遺伝子分析

現代では、飼育記録をもとにしたコロニー系統の追跡や、遺伝子分析によってかつてより楽に大量のミツバチを繁殖させることが出来るようになりました。

21世紀に入り、遺伝子情報である「ゲノム」が解析されるようになり、セイヨウミツバチのゲノムもすべて解析されました。これにより、免疫系やに匂いの受容体などの発見がありました。

その後トウヨウミツバチのゲノムも全解析され、世界的に分布する2種のミツバチの徹底的な比較が可能になりました。

ミツバチの減少の現状

減少するミツバチ

世界中でミツバチの減少が問題視されています。

Business Insider(ビジネスインサイダー)によると2018年、アメリカにおけるミツバチのコロニーの40%が死滅あるいは消滅し、史上最も深刻な状況であるとの見方がされています。

参考:ミツバチがいなくなると世界はこうなる,Morgan McFall-Johnsen Aug. 22, 2019

ミツバチの群れは増えている年もありますが、蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれる原因不明のミツバチの大量死が近年になって問題視されています。

ミツバチの花粉媒介活動を経済規模に換算すると17兆円以上とも言われています。ミツバチが絶滅すると多くの植物が絶滅し、人類の暮らしも窮地に立たされると警告されています。

ミツバチ減少の原因として挙げられるのはミツバチの生息域の減少移動養蜂行き過ぎた品種改良農薬散布などが挙げられます。

病気の感染による減少

移動養蜂は、はちみつの収量を高めるため、温暖地から寒冷地へ季節の花を求めて移動する養蜂のことです。膨大な数のミツバチのコロニーと一緒に作物を求めて各地を移動します。移動する際に病気を運んでしまい、病気によりミツバチが死んでしまうと考えられています。

品種改良による減少

ミツバチを商業利用する中で、より生産性の高い系統にするために品種改良がおこなわれてきました。女王バチは高い生産性があり、分蜂性が低く、子孫を沢山残す系統にするために品種改良されました。

品種改良によりDNAが改変され、元々備えていたミツバチの生存や環境に適応していくためのDNAが失われてしまったため、ミツバチが減少していると言われています。

農業・農薬による減少

広大な農地で1種類だけの作物を栽培する農業は、野生生物にとって悪い影響を与えてきました。従来の小規模農業の頃にさまざまな土地に適応して生息していた生物種が消えてしまいました。

さらに巨大な農業機械が農地を縦横するため、ミツバチの生息地がだんだんとなくなっていきました。また農業で使う農薬の影響もあります。農薬は、適切な量を使用すると効果的に収穫量を増やすことができます。しかし使用法を間違えると生態系を脅かす存在になります。

※分蜂…新女王蜂を元の巣に残し、半数ほどの働き蜂と古い女王蜂が新しい巣へ移動すること。

ミツバチのはたらき

ミツバチは花蜜から美味しいはちみつを作るだけでなく、植物の交配をサポートする農業における重要な役割を担っています。

ミツバチが様々な花を飛び交い、花の蜜や花粉を集める中で、ミツバチの身体についた花粉が行き交い、花の受粉が起こります。これを「花粉媒介」といいます

花粉媒介をする生物はミツバチのほかにチョウやアブなどの昆虫、ハチドリやメジロなどの鳥類などがいます。このような花粉媒介をする生物がいなくなると食料の収穫量が大きく減少します。

植物の中には花粉媒介者がいなければ種子や果実をつくることができない種もあるため、花粉媒介をする生物は人間にとっても生態系にとっても重要なはたらきをしていると言えます。

ミツバチ減少によって起きる問題

ミツバチ減少により、採蜜できるはちみつの量が減少することはもちろんですが、作物の生産量も減少し、作物をエサとするブタトリなどの家畜の生育も危ぶまれます。

ハチによる受粉が行われなければ種子や果実をつくることのできない作物として、ベリーリンゴアーモンドキュウリコショウなどが挙げられます。どれも私たちが普段食べている食料で、食べれなくなるもしくはとても高価なものになってしまいます。

このように生態系にとってミツバチが大きな役割を果たしていることがわかります。

まとめ

今回は、ミツバチ減少の原因や生態系内のミツバチのはたらきについて解説しました。

普通に生活いているとミツバチが減少していることは身近には感じません。しかし、より生産性を高めるために行われた女王バチの品種改良や、広大な土地で単一の作物を育てることによるミツバチの生息地や多様性の減少により、世界的にミツバチは減少しています。

そんな中、都市のビルの上で行う養蜂や、ミツバチの科学研究も進んでいます。今後の研究や養蜂業の方向性に注目していきたいですね。

ミツバチや養蜂についてより詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

ミツバチの教科書


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