美味しいはちみつを作ってくれるミツバチですが、ミツバチが私たちにもたらしてくれる恵みは、はちみつだけではありません。
ミツバチは花粉媒介という私たちが生きていくのに欠かせない役割を担っています。今回はミツバチの花粉媒介について詳しくご紹介していきます。
ハナバチとミツバチ
ハナバチ
ハナバチとは、ハチ類の中で蜜や花粉を幼虫の餌として与えるために、花を訪れてそれらを収集し蓄える習性をもつ昆虫です。
ヒメハナバチ科、コハナバチ科、ハキリバチ科、ミツバチ科などに含まれる昆虫が含まれます。しかし、上記と同じミツバチ上科に分類されるハチ類の中でも、アナバチ科などの花を訪れないハチ類は除外されます。
ミツバチ
ミツバチとは、上記のハナバチの中で、ミツバチ科・ミツバチ属に属する昆虫の一群です。
ミツバチは、生物学的な原種は全9種類に分類でき、現在広く分布・飼育されているのはセイヨウミツバチとトウヨウミツバチの2種類です
花粉媒介
花粉媒介とは、受粉のために同じ種類の花から花へ生殖細胞である花粉を移動させることを言います。
植物の花粉を運び、植物を受粉させる動物のことを「送粉者(ポリネーター)」と呼びます。
ポリネーターである動物によって花粉が運ばれ、受粉する様式は「動物媒」と呼ばれ、その中でハチやチョウなどの昆虫が媒介するものは「虫媒介」として分類されます。
ミツバチの花粉媒介
送粉者として優れるミツバチ
ハナバチは送粉者(ポリネーター)として優れた特徴を持っています。
みつばち協議会が出版している「ミツバチにうまく働いてもらうために」という著書では、以下の点でミツバチがポリネーターとして優れていることが紹介されています。
- 利用する花の種類がきわめて広いこと
- ほとんどの作物の受粉に使えること
- 簡単に運べる機動性にすぐれていること
- 適切に管理すれば長期間使えること
引用:ミツバチにうまく働いてもらうために,みつばち協議会,2012-3
ホームページ:http://bee.lin.gr.jp/new/kyougikai.html
これらの点から、多くの作物においてミツバチによる受粉の研究がなされています。
共存のための進化
ハナバチが進化する前に花粉を媒介していたのは、風や水などの自然現象やその他の甲虫でした。また他の花の花粉を必要とせず、同じ花の中で受粉が可能な同花受粉という繁殖方法をもつ植物も存在しています。
ハナバチが進化する前に花粉を媒介していた甲虫がハナバチの進化に関わっていると言われています。
花粉まみれの甲虫を食べていたカリバチが、いつからか花粉のほうを好むようになりハナバチに進化したと考えられています。
それに合わせて、植物も形や色を目立つように変化させ、ハナバチの餌となる花蜜をよりたくさん作るようになりました。
ハナバチも効率的に蜜や花粉を集めるために花粉の付きやすいフサフサの体毛や花の種類を判別する能力を身につけました。
このようにハナバチと植物は共生するために相互に進化していったとされています。
風によって花粉を媒介するイネ科やシダ科の植物の花が非常に地味で見つけにくいことからも、虫媒介によって受粉する植物が虫に見つけてもらいやすいよう花を進化させたことがうかがえます。
ハナバチがいなくなるとどうなる
ハナバチのもたらす恵み
ハチの花粉媒介活動を経済規模として換算すると年間17兆円以上とも言われています。
ハナバチの恵みとして一番に思いつくのは「はちみつ」ですが、はちみつを作るハナバチは多くなく、花粉媒介活動と比べるとはちみつの経済規模は非常に小さいです。
ハチは人間の生活に重要な様々な植物の花粉を媒介するため、ハナバチがいなくなると人類の生活もこれまでどおりではなくなる可能性があります。
全ての植物が絶滅するわけではないが…
20世紀最大の科学者であるアインシュタインが語った言葉として「ミツバチが地球上からいなくなった場合、人類は4年以内に絶滅する」が有名です。
実際にはアインシュタインの言葉ではないとも言われていますが、ミツバチが人間の生活に深く関わっていることは事実です。
先ほども紹介したとおり、花粉媒介はハナバチだけではなく、風や水、その他の昆虫も行っています。
そのため人類が絶滅するといった可能性は高いとは言えません。しかし特定の動植物は絶滅してしまう可能性があります。
ハチによる受粉が行われなければ種子や果実をつくることのできない作物として、ベリー、リンゴ、アーモンド、キュウリ、コショウなどが挙げられます。どれも私たちが普段食べている食料で、食べれなくなるもしくはとても高価なものになってしまいます。
ミツバチは減少しているか
近年、蜂群崩壊症候群(CCD)と呼ばれる原因不明のミツバチの大量死が観測されています。
実際に調べてみると日本では2018年までの5年間の調査では日本でCCDは発生していません。
数十年の期間としてみると、日本でもミツバチは減少している傾向がみられるようですが、世界中で危機的な減少が起こっているという信ぴょう性の高い報告は見つかりません。
ミツバチが局地的に大きく個体数を減らす現象は報告されていますが、悲観的な情報のみを鵜呑みにしないことも重要です。
それとともに、ミツバチを後世に残し、ミツバチとともに生きていくことも現代を生きる私たちの課題でもあります。
ミツバチの減少についてはこちらの記事をご覧ください。
おわりに
ここまで、ハナバチの花粉媒介についてご紹介しました。私たちの生活に大きな恵みをもたらしてくれているハナバチと、これからも共存していきたいですね。
ミツバチは、はちみつや花粉媒介だけでなくその高い社会性など、多くの点で注目される生物です。みなさんもミツバチについて調べてみると面白い情報が得られるかもしれません。
ミツバチや養蜂についてより詳しく知りたい方は、こちらの書籍がとても参考になります。
ミツバチの教科書
著者:フォーガス・チャドウィック、他7名
出版社 : エクスナレッジ (2017/7/15)
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