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ニホンミツバチってセイヨウミツバチとどう違うの? 日本の在来種、ニホンミツバチをご紹介

日本に古くから生息し、日本の在来種であるニホンミツバチですが、よく知らない方も多いかもしれません。

現在、日本や海外で主に販売されている蜂蜜はセイヨウミツバチから採れたものです。

養蜂もセイヨウミツバチが主となっていますが、ニホンミツバチにはセイヨウミツバチとは違う性質や愛らしさがあります。

今回はニホンミツバチについて詳しくご紹介していきます。

ニホンミツバチとは

ニホンミツバチは、トウヨウミツバチの一種です。

まずは、世界中に広く分布しているセイヨウミツバチトウヨウミツバチの違いから見ていきましょう。

セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチの写真

セイヨウミツバチは、ヨーロッパ、アフリカや中東に起源をもっています。ヨーロッパ現生のトウヨウミツバチは世界中に持ち込まれ、広く分布しています。

近代的な養蜂に主に用いられている種で、現在は世界中で飼育されています。

トウヨウミツバチ

ニホンミツバチの写真

トウヨウミツバチとは中央アジアから東アジア、東南アジアにも起源をもつミツバチです。

ニホンミツバチはトウヨウミツバチの中でも長い間日本に生息し、進化を遂げてきた在来種のことです。

種としては韓国に生息するトウヨウミツバチと非常に近いようです。

ニホンミツバチの生態

日本とニホンミツバチ

日本では平安時代にはすでに蜂蜜を利用していたとされています。『日本書紀』や平安時代の書物に蜂蜜という記述があり、献上されたりもしていたようです。

しかし、養蜂という形で蜂蜜の利用が本格的に始まったのは、江戸時代に入ってからだと言われています。

江戸時代後期になると蜂蜜が愛用され、漢方薬にも盛んに利用されたようです。

ニホンミツバチの高い社会性

集団で生活するミツバチの写真

セイヨウミツバチ同様、ニホンミツバチも高い社会性を有しています。この社会性や巣を構成するコロニーの仕組みに両者で大きな違いはありません。

セイヨウミツバチやトウヨウミツバチは子を産む女王バチと、子を産まない働きバチが明確に区別されています。

女王バチ

女王バチは同じコロニーに1匹のみ存在し、唯一産卵能力を持っています。女王バチと働きバチは同じ受精卵から生まれるとされ、両者の差を分けるのは幼虫期に与えられる餌の違いと量であると考えられています。

女王バチは幼虫のころからローヤルゼリーを餌として与えられています。このローヤルゼリーに含まれるロイヤラクチンという物質が、女王バチへの分化の因子になっていると論文で報告されています。

雄バチ

働きバチでも女王バチでもない、生殖を唯一の役割を目的とした雄のミツバチです。雄バチは無精卵から生まれ、産卵管もないため毒針を持っていません。

※ミツバチの毒針は産卵管が変化したものです。

ミツバチの交尾は空中で行われます。羽化した女王バチは、1週間ほどで生殖適齢期を迎え、交尾するために飛行の準備をします。これは交尾飛行ともいわれ、晴れた日に雄バチと女王バチの交尾が行われます。

雄バチは交尾が済むと死んでしまいますが、女王バチはたくさんの雄バチと交尾を行います。これは遺伝的な多様性を確保するためだといわれています。

働きバチ

先ほども記述した通り、働きバチは女王バチと同じ受精卵から生まれる雌のミツバチです。働きバチは餌探し、巣の警備、女王バチや幼虫の世話など、生殖以外のあらゆる仕事をこなしています。

セイヨウミツバチとニホンミツバチの違い

セイヨウミツバチニホンミツバチ(トウヨウミツバチ)には様々な違いがあるのでご紹介していきます。

体格の違い

セイヨウミツバチトウヨウミツバチも地域ごとに様々な亜種が存在しますが、両者とも熱帯地域では小型のものが多く、寒冷地ほど大きくなる傾向があります。

ヨーロッパのセイヨウミツバチと比べると、ニホンミツバチは体格が少し小さく、色は少し黒っぽいとされています。

花の蜜の集め方の違い

セイヨウミツバチニホンミツバチには花の蜜の集め方の傾向に違いがあります。

セイヨウミツバチは特定の特定の種類の蜜源に行って花の蜜を集める傾向があります。そのため、単花蜜を採取するのに向いています。

対してニホンミツバチはさまざまな種類の蜜源から蜜を集める傾向が高く、百花蜜になりやすい傾向があります。

単花蜜百花蜜の違いについてはこちらの記事をご覧ください。

また、1年で搾れる蜂蜜の量にも違いがあり、ニホンミツバチはセイヨウミツバチと比べて採れる蜂蜜が少ないことが多いです。

ニホンミツバチには逃亡癖がある!?

セイヨウミツバチと比べてニホンミツバチの養蜂が難しい理由の一つとして、ニホンミツバチの逃去性があるからです。

逃去性はニホンミツバチをはじめとするトウヨウミツバチによくみられる性質で、巣を捨ててミツバチが突然いなくなってしまうことです。

蜂蜜の生産性がセイヨウミツバチより低いこともありますが、逃去されてしまうと採れる蜂蜜は0になってしまいます。

巣が破壊されたり、使えなくなってしまったわけではないのに、なぜ巣を捨ててしまうのか…。その目的、はより適した環境への適応戦略である場合が多いと考えられています。

つまり、ニホンミツバチからしてみると逃げたわけではなく、適した環境に移動しているだけなのです。

以下の論文で、逃去の種類が明確に分けられています。

トウヨウミツバチはなぜ逃げるか,ミツバチ科学 17(2):71-76,HoneybeeScience(1996),中村純

逃去の種類

擾乱誘発型逃去…アリやスズメバチやその他の天敵から逃れるための逃去

季節移動…季節ごとにより適した気候に適応するための逃去

このような習性が、同じ巣を長く使い続けるセイヨウミツバチと比べてトウヨウミツバチの養蜂が難しいとされている理由となっています。

ニホンミツバチはダニに強い

ミツバチにとって天敵となる「ミツバチヘギイタダニ」に対して、トウヨウミツバチは優れた抵抗性を持っているとされています。

理由としては、トウヨウミツバチは頻繁に分蜂する性質があること、働きバチ同士が毛づくろいを行い、体表に寄生したダニを咬み落す事が主な理由と考えられています。

セイヨウミツバチはトウヨウミツバチと比べ「ミツバチヘギイタダニ」に対する抵抗力が弱く、ダニによる大量死の報告もされています。

物音に敏感

ニホンミツバチセイヨウミツバチと比べて穏やかで攻撃性が低いとされていますが、警戒心は強いとされています。

人間が蜂蜜を採取するために巣箱を開けた際に、セイヨウミツバチと比べて騒ぎやすいのも、ニホンミツバチの養蜂の難しさの一つです。

ニホンミツバチは増えている

近年、ニホンミツバチの養蜂が盛んになっています。

以下の記事から一部引用し、ニホンミツバチの個体数を見ていきましょう。

右の図に2種の群数の推移をイメージで示しました。セイヨウミツバチの飼育群数のピークは1950年ころで、それに比べると現在は群数でも養蜂家数でも半減しています。一方ニホンミツバチは急激に増え、これを追うように趣味で飼う人達もずいぶん増えました。今では北海道を除く全国に、多くのニホンミツバチ愛好家のグループが立ち上がっています。都市部における分蜂群の捕獲データを見ても、以前はほとんどがセイヨウだったものが、今はほとんどがニホンです。こうした状況もあり、昨年、ほぼ60年ぶりに養蜂振興法が改正施行され、ニホンミツバチを飼っている人にも飼育の届け出が義務化されました。また、次項でお話しするように、一部の病気が2種で共通しており、各都道府県(家畜保健衛生所)による伝染病の検査を徹底することや、蜜・花粉源植物の保護・増殖の必要性もうたわれています。

引用:最近のミツバチの厳しい健康事情,ECOZZERIA,2014/10/07
URL:https://www.ecozzeria.jp/series/chiebukuro/animal/animal_141007.html

ニホンミツバチは日本人に愛されるミツバチでもあります。外来種による生態系破壊が問題視されたこともあり、日本在来の動植物を保護していく意識の高まりがこの結果に現れているのかもしれません。

おわりに

今回は、ニホンミツバチについてセイヨウミツバチと比較しながらご紹介しました。

養蜂のしやすさという点においてはセイヨウミツバチが優れている部分も多いですが、長年の間日本人と共に暮らし、日本という環境に適応してきたことを踏まえると愛着がわくミツバチでもあります。

なにより、ニホンミツバチからはセイヨウミツバチと味わいが異なる美味しい蜂蜜が採れます。

これからもニホンミツバチと共生するために、ニホンミツバチも生きていきやすい環境を作っていくことも私たちの課題なのかもしれません。

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